シャンプーの洗浄成分である硫酸系の界面活性剤など、一般的にもよく知られている「気を付けたい成分」もありますが、実はまだ一般的に多くは知られていない刺激性のある成分があります。
リンスやコンディショナー、トリートメントに配合されている「カチオン界面活性剤」です。

カチオンについては最近では「カチオン0」をウリに販売されるシャンプーもあって、だんだん気にする人も増えてきたようですね。
ここでは、カチオン界面活性剤が頭皮にどんな影響があるのか、避けるためにはどうすればいいのか、解説していきます!
そもそも界面活性剤って?
界面活性剤は洗浄であったり乳化の役割を果たす液体のこと。
最近では一般的にも詳しい人が増えてきましたが、その種類やそれぞれの性質、用途についてはちょっと難しいので理解しきれていないかもしれません。
界面活性剤が入っている液体は、どこの家庭にもあります。シャンプーやボディソープはもちろん、洗剤や歯磨き粉にも含まれます。
そして意外なことにマヨネーズやマーガリンなどの食品にも含まれるんです。

界面活性とは、本来混ざり合わないものを結合させる作用のことを言います。
例えば水と油は混ざり合わないものですが、それを混ぜ合わせる効果を持つものを界面活性剤と言います。
界面活性剤の種類と性質
界面活性剤の種類 | 性質と仕様用途 | 主な界面活性剤の名前 | |
---|---|---|---|
イオン性界面活性剤 | (陰イオン)アニオン界面活性剤 | -の性質を持つ シャンプー、ボディソープ衣料用洗剤に使われる | ・硫酸系 ・スルホコハク酸系 ・カルボン酸系 ・アミノ酸系 |
(陽イオン)カチオン界面活性剤 | +の性質を持つ リンス、コンディショナー、柔軟剤などに使われる | ~クロリド、~ブロミドなど、 | |
両面界面活性剤 | +と-両方の性質を持つ シャンプー、ボディソープ、台所用洗剤に使われる | ベタイン系 | |
(非イオン)ノ二オン界面活性剤 | イオン化しない性質 台所洗剤、乳化剤など | エステル型、エーテル型など |
界面活性にはイオン化(電荷を持つ電子や原子団になること)するものとしないものがあり、マヨネーズやマーガリンの様なものはイオン化しない界面活性でできた商品です。
イオン化するものはイオン性界面活性剤といい、イオン化しないものは(ノニオン)界面活性剤非イオン性界面活性剤と呼ばれています。
イオン性界面活性剤はさらに3種類に分類されます。陰、陽、両面界面活性剤です。
カチオンはイオン化する界面活性剤のうちの、陽イオン界面活性剤です。プラスの静電気を発生し、マイナスイオンと引き合います。
陰イオン界面活性剤をアニオン界面活性剤、陰陽両方に電離するものを両性界面活性剤とよびます。
同じ界面活性効果があっても、電気的な性質によってどんなものに使われるか違ってきます。
カチオン界面活性剤の種類と成分名
カチオン界面活性剤の分子構造は、窒素の周りにアルキル基が結合しているものです。殺菌作用が高く、電気的にプラスです。
陽イオンは陰イオンと引き合うことから、電気的にマイナスの髪や菌を取り囲みます。その性質から、おもに殺菌や衣料用の柔軟剤、トリートメントに使用されています。
カチオン界面活性剤はさらに「第三級アミン塩型」と「第四級アンモニウム塩型」に分かれます。
第三級は肌への刺激が弱めですが、ヘアケア製品に使われているのは通常は第四級のほうです。
低刺激処方の製品には「脂肪酸アミドアルキル塩」が配合されています。
タイプ | 種類 | 名称 | 用途 | 肌への刺激 |
---|---|---|---|---|
第四級 | ベンザルコニウム型 | 塩化ベンザルコニウム(ベンザルコニウムクロリド) 塩化ベンゼトニウム(ベンゼトニウムクロリド) | 殺菌・除菌・逆性石鹸 医薬品、医薬部外品などの消毒剤などに使われる | 非常に強い |
ジアルキル型 | ジアルキルジモニウムクロリド ジステアリルジモニウムクロリド ジセチルジモニウムクロリド など | 衣料用柔軟剤、ヘアコンディショニング剤、帯電防止剤 | 強い | |
モノアルキル型 | ベヘントリモニウムクロリド セトリモニウムブロミド ステアルトリモニウムクロリド ステアリルトリモニウムブロミド など | ヘアコンディショニング剤、帯電防止剤 | 強い | |
第三級 | 脂肪酸アミドアルキル塩 | ステアラミドプロピルジメチルアミン イソステアラミドジメチルアミン べヘナミドエチルジメチルアミン など | 低刺激の衣料用柔軟剤、低刺激のヘアコンディショニング剤、帯電防止剤 四級より刺激が低い分コンディショニング効果は弱まる。 | 弱め |
アルキルアミン塩 | トリラルリルアミン ジオクチルアミン など | 乳化剤、抗菌剤 化粧品にはほぼ使用されない | やや弱め |
カチオン界面活性剤の働き

カチオン界面活性剤は肌への刺激が強い成分ですが、使い方さえ間違えなければメリットの大きい成分です。
柔軟効果を与えてくれる
衣類や髪に柔軟効果を与えてくれます。
衣類はふっくら柔らかく、髪は指どおりよくしなやかに整えてくれます。
帯電防止
静電気防止効果もあるので、嫌なパチパチやほこりがつくのも防いでくれます。ヘアブラシに使用されているケースもあります。
殺菌成分としての働き
カチオン界面活性剤は、殺菌効果や抗カビ効果も高いため、消毒剤にも配合されています。
- 塩化ベンザルコニウム
- 塩化ベンゼトニウム
- 塩化セチルビリジニウム
塩化セチルビリジニウムはオーラルケア製品、のど飴、トローチに配合され、菌を界面活性によって無毒化する働きをします。
塩化ベンザルコニウムは薬用せっけんの成分として効力を発揮します。
カチオン界面活性剤との付きあい方
カチオン界面活性剤は、特別敏感肌の人やお肌が弱った状態の人以外は気にしすぎる必要はありません。
では、敏感肌の人は、カチオン界面活性剤が使われている日用品を使う上で、どんな注意点があるのでしょう?ポイントをまとめました。
私たちの生活の中でカチオン界面活性剤が使用されているのは、おもに次の製品です。
- リンス・コンディショナー・トリートメント
- 柔軟剤
- デンタルリンス
- 洗顔フォーム
リンス・コンディショナー・トリートメントの場合
そもそも、トリートメントやコンディショナーは頭皮に直接つけないように使うものです。
ショートヘアなどの場合はどうしても頭皮に触れないようにするのは難しいので、ついてしまったらしっかり洗い流すのが大切。
デンタルリンスの場合
デンタルリンス(口腔洗浄剤)を使うと、ピリピリしたり刺激を感じることが多くありませんか?
とはいえ、多少飲み込んだところで身体に大きな被害はありません。
胃には強い酸でできている胃酸があり、そこで無毒化されてしまうので、少しの量ならば問題ないです。
柔軟剤の場合
衣料用洗剤に関しては、こだわり派の人も多く、ドラッグストアでも「無添加」ものが目につきます。でも、敏感肌の人は洗剤よりも柔軟剤の肌への影響に気を配りましょう。
洗剤に含まれる界面活性剤用よりも毒性が強く、衣類に残りやすい柔軟剤のカチオン界面活性剤のほうが肌荒れの原因になっているかもしれません。
敏感肌の人が柔軟剤で仕上げた衣類を直接肌に着用すると、かゆくなることがあります。直接触れなければ肌に影響しないので、肌着などの洗濯には使用しない方が無難です。
殺菌剤として洗顔フォームなどに含まれる場合
カチオン界面活性剤はニキビ用洗顔料にも含まれることがあります。
ニキビ菌を殺菌してくれる役割がありますが、ニキビ肌と同時に敏感肌でもある人は少し慎重に試しましょう。
【まとめ】カチオン界面活性剤との付き合い方
デメリットばかりが目立つカチオン界面活性剤ですが、髪にしなやかさを与え手触りをよくしてくれるという大きなメリットもあります。
カチオン界面活性剤は、コンディショナーやトリートメント類にはほぼ必ずといっていいほど配合されています。頭皮につけないようにしたり、きちんと洗い流しさえすれば、神経質になって避けなくても大丈夫です。
ただし、お肌が敏感な人や頭皮ケアが気になる人など、普通よりも気を付けたい場合はやっぱりカチオン界面活性剤に気を付けてヘアケアしたいですよね。
カチオン界面活性剤を避けたいなら、シャンプーのみでOKのヘアケアを

ほぼすべてのコンディショナー類にはカチオン界面活性剤が配合されています。
どうしても避けたい人はシャンプーのみでOKの製品を選ぶようにしましょう。
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